2024
北海道、石狩
石狩湾新港沖風力発電所は、2024年5月現在、日本最大級の商業用洋上風力発電所として112MWの規模を誇ります。 このプロジェクトでは、シーメンス・ガメサ製の8MW級台風・地震対応認証済みSG 8.0-167 DD洋上風力タービンを採用しています。これは日本初の8MW級タービン採用プロジェクトです。本州への送電容量制限や、人口の少ない北海道の農村地域中心の構成を考慮し、地元の送電事業者は再生可能エネルギー発電所に対し、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の直接接続を求めています。そのため、当プロジェクトには100MW/180MWhのBESSが組み込まれています。
プロジェクト要件
日鉄エンジニアリングは、風力発電機(WTG)のジャケット基礎に関する設計および設置業務を担いました。一方、シーカはグラウト材の供給、関連機器のレンタル、ならびに現地グラウト作業チームへのアドバイス及び洋上での品質管理を実施。本プロジェクトは、シーカにとって日本国内で初の洋上風力発電施設向けグラウト案件となりました。
シーカのソリューション
プロジェクトに導入された新開発の洋上グラウト作業設備は、シーカ独自技術により平均22MT/hr 以上、最大24MT/hr のポンプ性能を達成。グラウト注入作業、トラブルシューティング、各工程のメンテナンスは、シーカ・ジャパンが厳密に管理し、現場記録の文書化にも応用されました。シーカ・ジャパンの技術支援により、ボンドエンジニアリング(株)は14基の風力発電機(WTG)設置に参加。各WTGは4脚ジャケット構造で、海底へ杭打ち固定されました。使用されたグラウトミキシング設備は、1バッチあたり3MT(1.5MT袋×2)仕様のSika製コンテナ型混合装置で、施工には超高強度グラウト「シーカグラウト 9500」が用いられています。
採用製品
超高強度コンクリート(UHPC)と複合材料は、当社の中核を成す技術分野です。再生可能エネルギー、土木・港湾・海洋インフラ、エネルギー産業など幅広い領域に向けて、当社はUHPC製品の開発・製造を通じた技術ソリューションを提供しています。当社のUHPC製品は、ドイツのMPA(材料試験研究所)におけるクリープ試験および疲労試験を含む大規模な検証プログラムにより、その技術性能が確認されました。さらに、欧州の寒冷条件や熱帯地域の高温環境でも卓越した性能を発揮することが試験を通じて実証されています。SikaGrout®プレミックスグラウトは、従来のセメント系製品に比べ、強度・耐久性の両面で約10倍の性能を持つUHPCおよび複合材料製品群です。